あれから10年がたちオレも成人を迎えてけっこう日がたつ。
セシリアは...というとメンテナンスもあまりやってこなかったが動かなくなることはなかった。
ほんとうに人の手で作られたアンドロイドかと思う。
10年たった現在アンドロイドは存在するが、自分の判断で行動できるアンドロイドはまだいない。セシリアだけが自分の判断で行動できるアンドロイドだ。
だが、いっしょに生活してきたなかでアンドロイドだと思ったことは少ない。なぜなら、ほとんど人間と生活サイクルが変わらないからだ。
セシリアとお出かけ
「セシリアこっちおいで」
『はい、ジュン』
「どっかおでかけしようか」
『どこに行くの』
「どこに行くってわけじゃないけど、ドライブだよ。ダメかな」
『ダメじゃないよ、ジュンの行くとこだったら行きたいよ』
「それじゃいこっか」
『はい』
初めてセシリアとのドライブ。自分が気に入った女の子をとなりに乗せるって幸せな気分。
ボンネットを開け簡単なチェックをする。そこにセシリアが興味深くボンネットの中のエンジンを見る。
『まだ、エンジンが載ってる車ってあるんですね』
「そうだね、けっこう昔の車なんだけど大事に乗ってたんだ」
『ジュンはものを大事にするんだね』
セシリアが助手席のドアを開け車に乗り込んだ。オレもそれを見つつ運転席に乗り込んだ。
シートに座り、いつも見る光景だがとなりにセシリアがいると違うな、嬉しい。
そしてエンジンを起動させる、グゥウォーン いつもながらいいサウンドだ。
車を走らせ、いつも通りの加速をするとセシリアの表情が一変する。
『風が気持ちいいね、ジュン』
車の窓を開けたようだ。こういう反応されると、こっちまでいい気分になる。
「顔や手を出さないようにね」
『了解しました』
どことなく声がハイな感じに聞こえる。
『ジュン、どこに向かっているの』
「怖いところ」
『え... 怖いところってどこですか(>_<)』
「ウソウソ。オレもテンション上がってきたから ウソついてみた」
『ほんとにびっくりしたんだから』
「ごめんね」
たわいもない会話だがオレはそれでもよかった。
好きな子といっしょにいるだけでいいんだから!
車を速く走らせ、あっというまに目的地に着いた。
「セシリア、ついたよ」
『ここはどこ』
「どこかの山... かな」
『景色がいいね。こんなとこあったんだ』
「ここはさ、小学生の頃 自転車できてたんだ。この長い登りを時間かけて力いっぱいペダルをこいでさ」
『今のジュンからは想像できませんね』
「そうなの」
セシリアと見る景色。小学生の頃、何回も見た景色だが今 見てみるとこんな景色だったかなと思うほど違って見える。
小学生のとき見た景色、いろんなものが大きく見えた。大人になり同じ景色を見たときいろんなものが小さく見える、オレ自身がでかくなったのであたりまえの話だが。
セシリアとは中学生のとき初めて合ったわけだが、あの頃と今ではセシリアの見えかたはそんなに違わない。
オレの身長が伸びたぶん少し小さく見えるのかな⁉️