隣にいつもキミがいる
このところ仕事が忙しく睡眠時間も少なかったせいか、インフルエンザにかかり布団の中にいる。
なんともいえない辛さだ。動くことが難しいため、食事やトイレなどあたりまえにやっていたことができない。
セシリアが看病してくれて感謝してる。
「セシリア、看病してくれてありがとう」
『感謝してください。おやくにたてて嬉しいです』
アンドロイドは病気にならないのでオレがセシリアやアーネストを看病することはないわけだが、他の要因で看病することもある。かな?
そのときは、可能な限り頑張らせてもらいます。
ただ、そういう事態にならないように願いたいものだ。
それと下から見るセシリアもいい眺め。おっぱい大きいな!
家事を終えたアーネストが2階に上がってくる。
『良くなった。ジュン、あ..セシリアの胸ばっか見てるし』
「そんなことないぞ。たまたまだ」
『ふーん』
アーネストめ、余計なことを...セシリアがそばにいてくれて、安心する。
これが奥さんだと こうはならないでしょう。寝てたらなおるよ。で、あんまり気にされないかも?
片方が人間じゃなくてもいいんじゃないか。と思えてしまう安心感。
これから先、セシリアみたいなアンドロイドが増えてきたら、人間とアンドロイドがいっしょに生活するのが普通になり、もっと先には結婚?も可能な時代になるのは時間の問題かもしれない。
あの、アンドロイドが言ってたな。
本当の意味での人間とアンドロイドとの共存...か
あれはどういう意味だったんだろうか。
だけど、オレは今の生活のままがいい。
ヤツの目的
「なあ、セシリア」
『なんですか』
「この前やったゲームって毎回毎回、敵やステージの設定も違うんだろう」
『そうですね。同じものにはなりませんね』
「そっか」
『なにか、気になることでもありましたか?』
「最後のアンドロイドが言ってた言葉がちょっと気になってね」
『人間とアンドロイドの共存ですか』
「どういう意味かな。と思ってね、もう一回会って本当の意味を聞きたいと思ってさ」
『それは難しいですね。前にも言ったと思いますがあのゲームは仕組まれたもの、それ故に違うところから持ってきた可能性すらあります』
「違うところから持ってくる?」
『他のゲームから持ってくるんです。ジュン的に言えば敵のコンバートです。それも戦闘力を上げてます。でもゲームですのでケガとか壊れたりはしませんけど...』
「コンバートか、ややこしいな」
『あのゲーム自体は好きですよ。ジュンが気が向いたらまたやりましょう!』
「そうだな、ありがとう セシリア」
『アーネストも会話に参加したい』
「勝手に話していいぞ」
『もう、酷いあつかいよね。何度もゲームしてれば会えるかもしれないよ。数撃てば当たるってね』
「アーネストもありがとう」
アーネストの言うことも一理あるかもしれない。
あれから、何度かあのゲームにチャレンジしているがヤツには会えないでいる。
やはり、セシリアが言うように他のゲームからのコンバートなのかもしれん。だがあきらめず、ゲームをする日々が続いた。
そんなとき、あの時と同じような場面に出くわした。
ゲームの最初で何も出てこない。
「セシリア、これはあの時といっしょだ」
『そうですね、必ずいるとは限りませんが可能性はあります』
「セシリア、アーネスト 何かあったら頼む」
『了解、ジュン』
順調に敵を倒し進行する。このステージの一番奥に着いた。この前と似たような扉がある。
「ここか、多分ここだよな」
『そうですね、間違いないようです』
静かに扉を開けるとそこにはオレ達が探していたヤツがいた。
「探したぜ、あんた」
そこに立っているのは間違いなくオレ達が探しているヤツだった。
『私はキミを知らないがあなたは私を知ってるようだ、なぜ?』
「その姿 形だ」
『この姿を見たことがあるのかい?』
「ああ、半年ぐらい前か。このゲームの中で見た」
ヤツの動きが少しの間止まった。
『そうか、キミなのか。女のアンドロイドを2体ひっさげていたのは』
中身が入れ替わったのか、さっきとは別人だ。
「さっきは知らないと言っておきながら知ってるじゃないか」
『今、記憶がよみがえったんだ。許してくれ..ジュン』
「なぜ、オレの名前を知ってる」
『そんなことはどうでもいい。わざわざここまで来るということは私に何用か、それとも倒されにきたのか』
「お前に聞きたいことがある。前に会ったとき、人間とアンドロイドの本当の意味での共存と言っていたがあれはどういう意味だ」
『言葉どおりの意味よ。人間とアンドロイド、使うものと使われるもの。
これは変えようのない事実。だが人間の勝手な判断で改造したり、壊したり、捨てたりもする。
そうやってアンドロイドに酷いことをしてほしくない。
アンドロイドにも、自分を判断する機能がある。
人間が自分は生きているという実感に近いものなんだ。
人間ではないが人間に限りなく近い存在で扱ってほしいと心より願う』
『これが私なりの答えだ。納得してもらえたかな』
あいつの言ってることは、オレの考えと近い。
「オレもあんたの考えに賛成だ。人の形をしたものに対して、それもほとんど人間と区別がつかないほどのアンドロイドを人間と同等の対応をするのは当たり前だと思う。
だが悲しいことにそうゆう人間ばかりじゃない現実がある。それは分かってほしい」
『キミ いやジュンの言葉を聞いて安心したよ。ジュンのような人間がいることに...
また再会するようなことがあるとしたら今度はゲームではなく現実世界で会いたいものだ』
『そうそう、私の自己紹介がまだでしたね。私、エイルと申します。今後ともお見知りおきを』
ま せっかく再開したわけなのでキミ達があの頃と比べてどの程度強くなったか私がみてあげよう。
『余裕ね。じゃ私かからいくよ』
アーネストがヤツの間合いに入り剣を放つが剣が弾かれてしまう。
『なに』
『アーネスト、ふたり同時に攻撃しましょう』
『了解、セシリア』
セシリアとアーネストの同時攻撃。これは入ったと思ったが、2本指で止められてしまう。
『そんな』
ヤツが不適な笑みを浮かべる。
レベルが違いすぎるのか、アーネストの二刀流の剣とセシリアの渾身の一撃が効かないなんて
『なかなかいい剣ですね。攻撃力もある、だがそれだけでは私は倒せません。
しかし、今すぐあなたた達を倒すつもりはありませんので、あしからず』
そう言うといつの間にかエイルは、いなくなっていた。
ヤツはゲームのプログラムではなく現実世界の人間、もしくは、遠い未来のアンドロイドだったのかもしれない。
再びエイルとそして
「セシリアあのエイルってヤツ、なんであんなに強いんだ」
『よく分かりませんが、何かが桁違いに違うことは確かです』
アーネストはどんなふうに感じた。
『攻撃能力も高いけど、あいつ見えないシールドで防御していた』
「アーネスト、ナイスよく見てる」
セシリアがオレの顔をじっと見つめ話しかける。
『ジュンはエイルに勝ちたいの?』
「そうだよ」
『分かった...』
なにやら、考えがあるのか瞳を閉じているセシリア
『ジュン、なんとかなりそうよ』
「なんかいい案でもある?」
『イメージを強く、目の前の相手より強いイメージをえがくこと。ですね』
「口で言えば簡単だけど、セシリア アーネストお願いできる」
『高くつくわよ、ジュン』
『勝ちにいきましょう、ジュン』
なんかセシリアの意気込みがすごい気がした。
「でも、またエイルを探さないといけないね」
『それはそうですけど、あのゲームで知名度が上がったら自然とあっちから姿を現しますよ』
「そんなもんか」
『そんなもんです』
今、ゲームにログインしているがセシリアの攻撃が凄まじい。今回はかなりスタイルを変更してきたせいもあるのか。
防御の鎧というよりはプロテクターと言ったほうがいいのか、基本 肩と胸と腰の部分だが下が長いカットスカート風になっているため普段のセシリアからは想像できないような雰囲気を出している。HPもそうとうに高い。
アーネストの出で立ちは全体的にパープル風になっている。二刀流は変わらないが、魔法を修得したようだ。これは、期待出来るかも!
オレはこの前とほとんど変わりません。あしからず
今のステージは余裕ではないけど淡々と進行してる。ボスらしき敵も倒しこのステージもクリアした。
「アーネスト、魔法が使えるんだね」
『そうなの、修得したの。ジュンにもかけてあげるね』
『もう、アーネストったら。私だって強くなったんだから』
「セシリアの攻撃力の凄さはオレは好きだよ」
『ありがとう、ジュン』
あのゲームをかなりの回数をこなし、ランキングも上がっていった。同時に知名度も上がったと思うのだが、エイルにはまだ会えないでいる。
レベルが相当上がりお金もたまったので色々な武器やアイテムが手に入った。なかなか楽しいものだ。
いつものようにゲームにログインすると目の前にメッセージが表れた。
『頑張ってるようですね、ジュンとふたりのアンドロイド達。このステージのどこかに私はいます。お会いできたら宜しいですね。では幸運を』
「なめたまねしやがって」
『挑発にのらず確実に進んでいきましょう』
『アーネストも賛成』
「ふたりともありがと!では行きますか」
『はい、ジュン』
淡々と進んで行き、一番奥のボスを倒したとき水晶がドロップした。
やはりエイルはいなかったな。あのメッセージはなんだったのか。しょうがない、また今度ということにしよう。
水晶か。ま 取っておこう、ここが最後なのに終了しない。か なにかやり残したことがあるのか?
「セシリア、なんで終わらないんだ」
『よくわかりませんが、なんか変ですね』
『さっきの水晶かしてよ』
「ほい」
アーネストが水晶になにかを唱え始めた。すると水晶が光り、気がついたら別の場所に移動していた。
「別の場所に移動したのか」
『そのようですね』
『ジュン、あそこにお目当てのエイルがいるじゃない』
『あれ、見つかってしまいました。よくここが分かりましたね。なんか技でも使いました』
ふざけたまねをしやがって
「エイル、望み通り来てやったぞ。なんだここは高野か西武劇でもやるつもりか」
『言いますね、私にとって神聖な場所を悪くいう人はこらしめなくてはいけませんね』
「今度こそ倒してやる」
『ジュン、下がって』
『さあ、いきますよ』
エイルの言葉が終わった瞬間アーネストが攻撃を受けた。だがアーネストはだいじょぶそうだ。
エイルが言う
『私と同じ技ですか』
『そうよ、あなたと同じシールドよ』
『フム、短期間で魔法ですか。なかなかのものです、感心しました』
『今度は、こっちの番よ。デェリャーー』
アーネストが二刀流の剣を振りかざした。エイルのシールドを破り本体に少しばかりダメージを負わせた。そこにセシリアの一撃がいくが、エイルがすばやくよけた。
『あぶない、あぶない なかなかやりますね。剣に魔法を掛け、私のシールドを破るとは』
そのすきにセシリアがエイルに攻撃。だが軽くよけられる。
エイルが唱えた
『ディメンションセクター』
一面 高野から異次元空間になった。
『フフフ、これであなた方は逃げれなくまりましたよ』
セシリアが答える
『そうかなエイルよ』
セシリアか
『この前、あなたは言ってましたね。ジュンがこの世界を創ったと。ならばジュンのイメージを超越するイメージがセシリアにできるならば、あなたに勝てるはず。違いますか』
『そんなことも言いましたね。あんまり覚えてませんけど』
『ならば受けよ、根底から覆す ニーベルシフト』
なんだ、あんな名前のやつあったか?
異次元空間がなくなり元の高野に戻った。そしてエイルの体の周りにデカイリングができ身動きが取れない。チャンスだ!
アーネストがすかさずアタック。だが剣が届いていない。
『え、どうして』
『今のはさすがに効きましたよ。異次元空間を破壊し私の動きを封じるとは』
『エイルほめてくれてありがとう、でもこれだけではないんですよ』
『最強が変化する ニーベルロード』
『さっきと同じリングですか。同じ技を使うとは...笑止千万、う.. なに解除できない。なんだこれは』
『見た目は似てるけど中身が違うのよ』
『く 動けない、くそがあ』
『あらあら下品な言葉づかいね』
『アーネストの出番ね、今度こそもらったー』
エイルの鎧ごと、こなごなになり消滅した。
「セシリア、すごいよ。あんなのあったんだ」
『秘密にしてました。ごめんなさい』
『アーネストも頑張ったんだよ』
「アーネストもよくやった」
なにか小さな声がするが気のせいか?
『ジュン様、ジュン様』
聞き覚えのある声だが誰だっけ?
「ん、ネームか」
『はい、ネームです』
「なんでお前の声がここで、もしかしてエイルの正体はお前か、ネーム」
『ジュン様、申し訳ございません』
「なんでこんなことしたんだ」
『最近、ジュン様とお話する機会がグッと減ったため、ジュン様に気がついてほしくて...反省してます』
「悪かったネーム、気がついてやれなくて色々ゴメンな」
正体はネームでした。で幕を閉じたゲームだったが存分に楽しめた。これからもちょくちょくこのゲームをすると思うが、また違った視点で楽しめることだろう。